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🦷子どもの歯並びはどうやって決まる?子どもの歯並びはどうやって決まる?

「永久歯が生えてきたら、前歯が重なってきた」
「乳歯のときはきれいに並んでいたのに、だんだん歯並びが気になってきた」
「うちの子は、あごが小さいのかな?」

お子さんの成長とともに、このような変化に気づく保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

子どもの歯並びを考えるとき、つい「歯がまっすぐ生えているか」「永久歯がきれいに並んでいるか」と、歯そのものに目が向きがちです。しかし、子どもの歯は、成長している顔やあごの中にあります。さらに顔の中では、骨だけでなく、筋肉、舌、唇、頬、気道、歯を支える組織など、さまざまな部分が互いに関係しながら変化しています。

子どもの歯並びについて考えるには、「歯がどう並んでいるか」だけでなく、「その歯が生えている顔やあごが、今どのように成長しているのか」という視点も大切です。

では、子どもの顔はどこから成長するのでしょうか。あごの骨は、どのように大きくなっていくのでしょうか。そして、顔やあごの成長と、永久歯の位置や歯並びにはどのような関係があるのでしょうか。

今回は「子どもの歯並び」シリーズの第1回として、顔・あご・歯の成長の基本的な仕組みを、少し専門的な内容も交えながら、できるだけわかりやすく解説します。お子さんの歯並びが気になり始めた方にも、まず知っていただきたい基礎知識です。

1.「成長」と「発育」って同じこと?

子どもの身体について、「成長・発育」という言葉を耳にすることがあります。似た言葉ですが、少し異なる意味があります。

「成長」は、主に身体の大きさが変化していくことを指します。一方の「発育」は、細胞や組織などが少しずつ成熟していく過程を表します。

つまり、子どもの身体は、単純にサイズだけが大きくなっているわけではありません。身体のさまざまな部分が変化し、成熟しながら大人へと近づいていきます。これは、顔やあごについても同じです。

子どもの顔は、「完成した大人の顔をそのまま小さくしたもの」ではありません。成長するにつれて、顔の各部分の大きさや位置、全体のバランスが変わっていきます。子どもの歯並びを見るとき、「今見えている歯」だけではなく、「これから成長していく途中にある」という視点が大切になります。

2.子どもの顔はどこから成長する?

顔の成長を理解するために、まず知っておきたいのは、顔の一部分だけが独立して大きくなっているわけではないということです。

顔の成長を考えるうえでは、「脳と頭蓋底」「気道」「口腔(お口の中)」など複数の領域との関係をみていくことが大切です。頭蓋底とは、脳の下側にある頭の骨の土台となる部分です。

これらはそれぞれ異なる構造ですが、互いに関係しながら成長していきます。たとえば上あごの形や位置も、上あごの骨だけで決まるわけではありません。頭蓋底の成長、気道や口の中の変化、歯が生えてくること、周囲の組織などと関連しながら変化していきます。

そのため、顔の成長は「一つの骨がそのまま大きくなる」という単純な変化ではなく、周囲のさまざまな組織と関係しながら、顔全体として変化していくものと考えることができます。

なので子どもの歯並びを考えるときにも、歯だけを切り離して見るのではなく、顔やあごを含めた成長の中で捉えることが大切です。

Screenshot

3.あごはどうやって大きくなる?

「永久歯が並ぶスペースが足りないと言われた」「うちの子は、あごが小さいのでしょうか?」。歯並びについてのご相談では、このような「あごの大きさ」を気にされる方も少なくありません。

「あごが成長する」と聞くと、骨がそのまま外側へ伸びて大きくなるようにイメージするかもしれません。しかし、実際の骨の成長はもう少し複雑です。

あごの成長を理解するうえでポイントになるのが、「骨のリモデリング」と「骨全体の移動」です

骨は「作る」と「吸収する」を繰り返して形を変える

「リモデリング」とは、簡単にいうと骨の作り替えです。

成長している骨の表面では、場所によって新しく骨が作られる一方で、別の場所では骨が吸収されています。「成長するのに、骨が吸収されるの?」と不思議に感じるかもしれません。

しかし、この「作る」「吸収する」という変化を繰り返すことで、骨は単に大きくなるだけではなく、形を変えたり、周囲の組織との関係に合わせて形を調整したりしています。

あごの骨は風船のようにそのまま膨らむのではなく、少しずつ作り替えられながら大きさや形を変えていくのです。

あごの骨そのものも位置を変える

もう一つが、骨全体の「移動」です。

顔や周囲の組織が成長する過程では、あごの骨も周囲の構造との関係を変えながら、全体として位置を変えていきます。上あごや下あごでは、この骨全体の移動と、骨の表面で起こるリモデリングが組み合わさって成長が進みます。

そのため、「あごが大きくなる」という現象も、実際には骨が一方向へ単純に伸びているだけではありません。骨の形を作り替える変化と、骨全体の位置の変化が重なって起きています。

4.子どもの顔が大人の顔に変わるのはなぜ?

赤ちゃんや小さな子どもの顔と、大人の顔を思い浮かべてみてください。子どもは頭に対して顔の部分が比較的小さく、全体的に丸みを帯びて見えます。一方、大人になるにつれて顔の縦方向の長さやあごの大きさなどが変わり、顔全体の印象も変化していきます。

これは、顔のすべての部分が、同じ時期に同じスピードで成長するわけではないためです。

乳幼児期には、頭の大きさに対して顔の部分が比較的小さく、顔の縦方向も短い状態です。その後、成長に伴って気道や口腔の領域が変化し、上あごや下あごも成長していきます。

こうして顔の各部分がそれぞれのタイミングで成長し、全体の比率が変わることで、子どもの顔から大人の顔へと少しずつ変化していきます。

お子さんの顔やあごは、今まさに変化している途中にあります。

5.歯並びとあごの成長にはどんな関係がある?

ここまで顔とあごの成長について見てきました。では、その中にある「歯」はどうでしょうか。

歯も、顔やあごの成長とは無関係に存在しているわけではありません。歯の位置は、歯を支える骨や周囲の組織の変化、あごの成長、歯が生えてくることなどと関係しながら変化します。

歯を支える骨や組織も変化している

歯の周囲には「歯槽骨(しそうこつ)」と呼ばれる、歯を支えている骨があります。歯槽骨では、骨が作られたり吸収されたりするリモデリングが起こっています。また、歯の周囲の組織も成長や歯の萌出に伴って変化していきます。

こうした周囲の変化と関係しながら、歯の位置も少しずつ変化します。また、上あごや下あごそのものが成長に伴って位置を変えることも、歯の位置関係の変化に関わります。

子どもの歯を考えるときには、歯だけではなく、その歯を支えている骨や周囲の組織も成長途中にあることを知っておく必要があります。

永久歯が生えてくることも「歯の位置の変化」

子どもの時期には、乳歯が抜けて永久歯が生えてくるという大きな変化があります。

歯があごの中からお口の中へ生えてくることを、歯科では「萌出(ほうしゅつ)」といいます。萌出の過程では、歯はあごの中からお口の中へ向かって位置を変えていきます。

子どもの歯の位置には、あごの成長、歯槽骨や歯を支える組織の変化、そして歯の萌出など、複数の変化が関係しています。

「歯並び」というと並んでいる歯そのものに目が向きますが、子どもの場合は、その歯がどのようなあごや周囲の組織の中で生え、位置を変えているのかを見ることも大切です。

6.「うちの子はどうだろう?」成長期の歯並びを見てみましょう

ここまで読んで、「では、わが子の場合はどうだろう?」と思った方もいるかもしれません。日常生活の中で、次のような変化に気づくことはないでしょうか。

  • 永久歯が生えてきて、歯が重なってきた
  • 歯並びがガタガタしているように見える
  • 前歯が出ているように見える
  • 受け口が気になる
  • 「あごが小さいのでは?」と感じる
  • 乳歯の後ろ側から永久歯が生えてきた

こうした変化は、保護者の方が子どもの歯並びを気にするきっかけになりやすいものです。ただし、どれか一つが当てはまるからといって、必ず治療が必要という意味ではありません。また、「あごが小さいから歯並びが悪くなった」など、一つの要因だけで将来の歯並びを決めつけることもできません。

同じように見える歯並びでも、年齢や歯の生え替わりの段階、あごや周囲の組織の状態などは一人ひとり異なります。気になる変化がある場合には、自己判断で将来の歯並びを決めつけず、歯科医院で現在の成長の状態も含めて相談してみるとよいでしょう。

また、子どものお口を見るときには、歯の並びだけでなく、普段のお口の開き方や呼吸、舌の位置、飲み込み方などの「お口の使い方」に目を向けることもあります。この点については、次回の記事で詳しく取り上げます。

7.子どもの歯並びは「今の歯」だけでなく「成長」から考える

今回は、子どもの歯並びを理解するための第一歩として、顔・あご・歯の成長についてご紹介しました。ポイントをまとめると、

  • 顔は、脳・頭蓋底、気道、口腔などの領域が関係しながら成長する
  • あごは、骨の「作り替え」と骨全体の移動が組み合わさって成長する
  • 顔の各部分は、それぞれ異なるタイミングで成長するため、子どもから大人になる過程で顔の比率も変化する
  • 歯も、あご・歯槽骨・周囲の組織・歯の萌出などと関係しながら位置を変化させる

ということです。

子どもの顔と歯の成長は、単純に「骨が大きくなって、そこに永久歯が生えてくる」というものではありません。だからこそ、子どもの歯並びについて考えるときには、「今、歯がどう並んでいるか」だけではなく、「成長している顔やあごの中で、歯がどのような状態にあるのか」という視点も大切になります。

下の図は、双子にみられた成長発育の違いを示す症例資料を参考に、特徴が伝わりやすいようAIで新たに作成したイメージ図です。

双子であっても、成長の過程で、顔貌やあごの位置関係、かみ合わせに違いがみられる場合があります。

ここで注目したいのは、「歯並びの違い」を歯だけの問題として見るのではなく、その歯を支えているあごや、顔全体の成長発育とあわせて見ることです。

同じように前歯が出て見える場合でも、歯そのものの傾きだけではなく、上下のあごの位置関係や成長の方向などが関係している場合があります。また、子どもは成長の途中にあるため、現在の歯並びだけを見て、将来の顔貌やかみ合わせを単純に予測することはできません。

歯の重なりやかみ合わせ、永久歯の生え方などで気になることがある場合は、成長の途中だからこそ、歯科医院で現在の歯の状態だけでなく、顔やあごがどのように成長しているのかも含めて確認することが大切です。

では、顔やあごが成長していく中で、毎日何気なく行っている「呼吸」「舌の位置」「飲み込み方」「唇や頬の使い方」といったお口の機能は、歯並びとどのように関係しているのでしょうか。

次回は、子どもの歯並びと「お口の使い方」の関係、そしてそれらに着目した治療について詳しくご紹介します。

監修者情報

諸隈歯科医院
院長・歯学博士

諸隈 正和 Masakazu Morokuma / DDS PhD
略歴
日本大学歯学部卒業。同大学大学院歯学研究科修了後、専修医を経て2014年より諸隈歯科医院に勤務。2017年院長就任。再生医療認定医。千葉市稲毛区黒砂にて地域診療に従事。
専門分野
インプラント、補綴治療(被せ物・入れ歯)、咬み合わせ、根管治療、矯正歯科など、機能回復を重視した総合歯科治療。顕微鏡やデジタル印象などの設備体制のもと、再治療を繰り返さない治療を目指す。
資格・所属
日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医/日本口腔インプラント学会 /日本歯内療法学会 ほか。日本再生医療学会 再生医療認定医 2016年取得。
診療方針
「できる限り歯を残すこと」「しっかり噛める状態を回復すること」「その場しのぎで終わらせないこと」を大切にしています。初診時の説明から治療後のメンテナンスまで一貫して向き合い、長期的に安定する治療計画を重視しています。
患者様へのメッセージ
本ブログでは、千葉市・西千葉・みどり台周辺で歯科医院をお探しの方を中心に、診療現場で実際に多いご相談内容をもとに、治療の選択肢やそれぞれの利点・注意点を整理しています。専門的な内容も、できるだけわかりやすく、誇張なくお伝えすることを心がけています。「本当にこの治療でよいのか」「他の方法はないのか」と迷われた際は、一人で抱え込まずご相談ください。地域のかかりつけ歯科として、丁寧な説明と納得のうえで治療を選んでいただくことを大切にしています。