Pulp preservation

歯髄保存治療

歯の神経(歯髄)を守り
残す歯髄保存治療

歯の内部にある「神経(歯髄)」は、歯に栄養を供給し、痛みやしみる感覚などを感知することで、むし歯などの外的な刺激から歯を守る重要な役割を担っています。
歯髄の除去は、むし歯が進行して神経に達した場合や、事故やケガで歯が割れ、神経が露出した場合に行われる処置です。しかし、こうした状況でも歯髄を完全に取り除かず、できる限り保存することを目的とした治療法が「歯髄保存療法」と呼ばれます。

歯髄について

歯髄(歯の神経)とは

歯髄とは、一般的に「歯の神経」と呼ばれる部分で、歯の中心部にあり、象牙質に囲まれた歯髄腔という空間に存在します。
この歯髄には神経が含まれており、歯に伝わる刺激を感知し、それを脳へ信号として送る役割を担っています。冷たいものに触れたときや強い力が加わったときに、歯髄内の神経が反応し、その信号が脳に届くことで、痛みなどを感じることができます。この感覚は、歯を保護するための重要な働きをしています。

歯髄(歯の神経)の担う役割

01.歯の感覚を伝える
歯髄は、歯に加わるさまざまな刺激を感知し、脳へ情報を伝える機能を持っています。これにより、冷たい飲み物や食べ物がしみる感覚や外部からの痛みを認識することができます。これらの感覚は、歯を守るための早期の警告として重要な役割を果たしています。
02.歯の成長を促す
歯髄内には幹細胞が含まれており、新しい歯質を作り出して歯の成長を助けます。また、象牙質や歯髄が傷ついた際には、それを修復する機能を持ち、歯の健康を維持するうえで欠かせない役割を果たします。
03.歯をダメージから守る
歯髄は歯の内部でクッションのように働き、外部からの衝撃を吸収して歯を保護します。強い衝撃を受けた場合でも、歯髄がその力を緩和することで、歯の損傷を軽減します。また、歯髄が正常に機能していることで、歯全体の耐久性が向上し、外的な影響から歯を守る効果があります。

Point !

歯髄(歯の神経)を抜くとどうなる?

歯髄を取り除いた歯は「無髄歯」と呼ばれ、時には「死んだ歯」や「失活歯」と表現されることもあります。この状態の歯は、神経がないためにさまざまな問題を引き起こす可能性があります。

神経がないことで歯への栄養供給が途絶え、次第に歯が脆くなっていきます。その結果、わずかな衝撃で歯が割れたり欠けたりするリスクが高まります。また、新陳代謝が停止することで、古い組織やたんぱく質が行き場を失い、変色して黒ずんでしまうことがあります。

さらに、無髄歯は痛みや異常を感じにくいため、詰め物や被せ物の下でむし歯が再発しても気づきにくく、発見が遅れて重症化するリスクもあります。歯科治療において、抜歯の対象となる歯の多くが神経を失った歯であることは少なくありません。

歯髄保存治療の方法について

MTA直接覆髄治療

進行したむし歯を除去した際に神経が露出した場合、神経を取り除かず、薬剤を直接神経に置いて封鎖する治療法です。この方法では、ケイ酸カルシウムを主成分とする「MTAセメント」を使用した覆髄治療を行います。
MTAセメントは、従来の水酸化カルシウムセメントと比べて、再生される象牙質がより緻密で、感染に対する抵抗力が高いことが特長です。
MTA覆髄治療では、むし歯を取り除く際に慎重な処置が求められます。特に、神経に非常に近い部分を治療するため、刺激を与えないよう細心の注意を払いながら進めます。十分な治療期間を確保し、丁寧に神経を保護することが重要です。

MTA断髄治療

むし歯が歯の神経に到達した場合、通常は神経を除去する「根管治療」が行われますが、感染の範囲や炎症の程度によっては、「断髄法」という神経を残す治療法が選択できることがあります。
この方法では、炎症が発生した神経部分のみを取り除き、その後、MTAセメントを用いて神経を保護します。覆髄治療と同様に、残った神経を守りながら歯を保存することが目的です。ただし、炎症が重度の場合には、この治療法が適用できないこともあります。

歯髄保存治療の症例

歯髄保存治療

歯髄保存治療

Before

After

主訴虫歯を治したい
治療回数2回
治療方法歯髄温存療法・コンポジットレジン
費用(税込)187,000円(歯髄温存療法) 55,000円(コンポジットレジン)
メリット歯の神経の温存。歯の延命。歯の削る量が最小限。
デメリット・注意点痛みが出た場合は神経を取る処置に移行が必要な点。
性別男性

歯髄保存治療後を
綺麗に仕上げるには

セラミックは自然な歯に近い色合いや透明感を持ち、審美的な仕上がりを実現します。また、耐久性にも優れ、長期間にわたって美しさを保つことが可能です。治療後の仕上がりを重視する方には、セラミック治療をおすすめします。

審美歯科

歯髄保存治療の治療詳細

治療期間・回数

治療期間
1日(治癒期間:3~6ヶ月)
治療回数
1回

治療前の注意点

  • 保険診療以外の自費診療になります
  • 治療後、一時的に歯が過敏になり、冷たいものなどでしみたり痛みを感じたりする場合があります
  • 従来の方法に比べて高い確率で歯髄を保存できる治療法ですが、歯の状態によっては、治療後に歯髄の炎症が生じ、抜髄処置が必要になる可能性があります

歯髄保存治療についての
ブログはこちら

歯髄保存治療について詳しく知りたい方のために、当院のブログをご用意しました。この治療は、歯の神経をできる限り保存しながら、むし歯やその他の病変を効果的に治療する方法です。歯科医院での治療説明と合わせ、歯髄保存治療の重要性や効果について理解を深めるために、ぜひご覧ください。

歯髄保存治療ブログ