General anesthesia

日帰り全身麻酔手術

歯科治療へ不安のある方へ
全身麻酔治療にも対応しています

現代の歯科治療において、全身状態を把握し管理を行いながら治療を行うことは、安全な歯科治療を提供するために欠かせないことだと考えており、「日帰り全身麻酔手術」は従来の歯科治療とは異なる「痛みのない手術」「入院を伴わない手術」を実現させた治療システムです。

歯科恐怖症患者やお身体に不自由を抱えている方、様々な事情で歯科治療を受けることが難しい患者様に対し、完全に寝ている状態で安全・快適な歯科治療を提供します。

こんな方に全身麻酔を
おすすめしています

全身麻酔と聞くと、少し大げさに感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、以下のような理由で歯科治療をためらう患者様には、全身麻酔が非常に有効な選択肢となります。また、これ以外のケースでも、さまざまな患者様のご要望にお応えできるよう対応しています。遠方からも多くの方にお越しいただいておりますので、ご希望の方はぜひお電話でお問い合わせください。
※全身麻酔は保険が適用される場合があります。

  • 嘔吐反射が非常に強く、「オエッ」となることに悩んでいる方
  • 歯科恐怖症があり、治療に対する強い恐怖心から、完全に意識のない状態で治療を受けたい方
  • 親知らずの抜歯を入院せずに済ませたい方
  • 静脈内鎮静法を用いても治療が困難と判断される方
  • 治療を拒否してしまうお子様への対応が必要な方
  • 他院で「静脈内鎮静法はインプラント治療にのみ使用している」と言われたが、通常のむし歯治療を全身麻酔で受けたい方
  • 障がいをお持ちで、他の歯科医院では治療が困難な方

全身麻酔について知る

全身麻酔とは

麻酔とは、治療が行われている間の痛みを取り除くとともに、患者様の状態を厳重に見守り、治療が安全に行えるように全身の状態の管理にあらゆる努力をすることです。
全身麻酔のもとに治療を受ける場合、麻酔医によって痛みやその他の苦痛を取り除かれるだけでなく、血圧、脈拍、呼吸、体温などの全身状態が正しく管理された状態におかれ、歯科治療を安心して受けられます。

Point !

なぜ局所麻酔ではなく全身麻酔が必要なの?

全身の麻酔の大きなメリットとして

  • 手術を安心・安全に行うことができる
  • 術中・術後の管理がしやすい
  • 全身麻酔自体も安全である

などがあります。
そもそも歯科で全身麻酔を行うことはそう多くはありません。しかし、治さなければならない歯の本数が多かったり、奥にある歯を抜いたりする場合、治療の時間が長くかかることがあります。人間がじっとがまんできる時間は限られています。
とくに歯科治療では、お口の中で先の尖った鋭い器具をしばしば使います。治療による恐怖心によって頭やからだを大きく動かしたり、障がいのあるお子様では自分では意識しなくてもからだが自然に動いてしまったりする(不随意運動)と、安全に治療ができなくなります。動かずに治療ができなかったり、治療後に精神衛生上悪影響を与える恐れのある場合、全身麻酔を行った方が安全にできます。

全身麻酔の方法

麻酔を受けるとき

全身麻酔の方法にはいろいろありますが、歯科治療におけるほとんどの麻酔の場合、治療の際にかみ合わせの調整が必要になりますので、管をお鼻から通して行う経鼻挿管が多く用いられます。
気管挿管の場合、眠ってから操作を行いますので、恐がることはありません。また、用いるラリンジアルマスクや管も細くて柔らかいビニールやシリコンで出来ており、喉に傷がつくことはありません。
麻酔ガスや静脈麻酔薬を用いた麻酔は、専門の知識や技術が必要です。近年は代謝の速い麻酔薬が多く用いられるため、治療後すぐに麻酔を覚ますことが出来ます。治療の間、麻酔医によって全身状態は全て管理されています。
治療が終わりに近づくにつれて麻酔の深さも徐々に浅くなるように調節され、そして間もなく目が覚めます。

麻酔からさめるとき

吸う息と一緒にからだの中に吸収された麻酔ガスや静脈の中に入った麻酔薬により全身が麻酔され、その全身状態をより安全に維持する努力を麻酔医が行うことはすでにご理解いただけたと思います。一方治療が終わると麻酔医はそのような状態から普通の状態に戻すよう努力します。麻酔が浅くなってくると、患者様は刺激により泣いたり、手足を動かしたりというように目が覚め始めます。

日帰り全身麻酔で行える
歯科治療

  • 01

    オールオンフォー

    オールオンフォーは、インプラントの本数を抑えながら歯全体を治療する方法です。この治療では、上下の歯を一度に対応することが可能で、全身麻酔下で手術を行います。条件によっては、手術当日に仮歯を装着していただける場合もあります。

  • 02

    ボーンアンカードブリッジ

    ボーンアンカードブリッジは、すべての歯を失った無歯顎の患者様に対して行う治療法で、6本程度のインプラントを使用してブリッジを固定します。条件が整えば、インプラントの埋入からブリッジの装着までを1日で完了させることも可能です。

  • 03

    全身疾患がある方(心臓病・重度の糖尿病など)

    心臓病や重度の糖尿病、高血圧などの全身疾患をお持ちの患者様に対して、適切な準備をせずに歯科治療を行うと、緊張や不安により血圧が大幅に上昇することがあります。全身麻酔を用いることで、血圧の上昇を抑え、安心して手術を受けていただける環境を整えます。

  • 04

    歯科恐怖症・重度の障がいをお持ちの方

    歯科恐怖症や重度の心身障がいをお持ちの患者様の場合、治療中のストレスや反射的な動きに対する安全面の配慮が必要です。そのため、全身麻酔下で治療を行うことが適切と判断される場合、むし歯治療や根管治療を全身麻酔下で進めることがあります。

  • 05

    たくさんの歯の治療を数回で終わらせたい方

    むし歯治療において、多くの歯の治療をなるべく短期間で済ませたい方には、全身麻酔が特に有効です。静脈麻酔では施術が長くても、その効果が2時間程度しか続かないため、短時間で終わらせられないことが多いからです。こういった患者様のニーズに合わせた麻酔方法を選定し、安心して治療を受けていただける環境を整えています。

Point !

障がいをお持ちの方、そのご家族の方へ

当院では、心身に障がいがあり、歯科治療を受ける際に困難を感じている方でも安心してご来院いただける環境を整えています。たとえば、治療中に動いてしまったり、院内で騒いでしまったりすることがあっても、それは自然なこととして受け止めていますので、どうぞお気兼ねなくお越しください。

患者様やご家族の負担を軽減するため、待ち時間を最小限に抑え、スムーズに治療に入れるよう配慮しています。また、私たちは全力を尽くして患者様の安全を守り、安心して治療を受けていただける環境を提供するよう努めています。

全身麻酔の流れ

  1. Flow01

    術前説明・検査

    治療前に、治療内容やお体の状態について詳しくご説明し、全身麻酔に関する説明も行います。その後、同意書を作成していただきます。続いて、胸部エックス線写真、心電図、血液検査、呼吸機能検査などの術前検査を実施します。

  2. Flow02

    治療当日

    全身麻酔を受ける当日は、朝食を摂らずにご来院ください。水分は、予定時間の2時間前まで摂取可能です。治療開始前に血圧計や心電図を装着し、口元にマスクを当てて酸素と麻酔薬を吸入していただきます。呼吸を通じて麻酔薬が体内に入り、徐々に眠くなります。

  3. Flow03

    麻酔注入&気管挿管

    ウトウトした状態になった後、点滴を確保し、全身麻酔に使用する薬剤を投与します。麻酔が深く効いた状態で、呼吸を補助するための細い管を気管に通します。

  4. Flow04

    治療開始

    全身麻酔の準備が整い次第、歯科治療を開始します。完全に意識のない状態で治療を行うため、途中で目が覚めたり痛みを感じたりすることはありません。

  5. Flow05

    治療終了~覚醒

    治療が終了してからおよそ10分で目が覚めます。その後、チェアで休憩していただき、完全に覚醒し胃腸が動き始めるまで1~2時間ほどお休みいただきます。水を飲むことができる状態であることを確認したうえで、帰宅の判断を行います(個人差があります)。

  6. Flow06

    ご帰宅

    治療は日帰りで行えます。術後は体調確認のためご連絡を差し上げますので、当日はできるだけ安静にお過ごしください。

よくある質問

Q全身麻酔っていくつくらいから行えるものなのですか?
全身麻酔を受けられる年齢は10歳頃から70歳近くのご高齢の方でも安全に行われています。
欧米では、障がいをお持ちの方や治療が難しいお子様、嘔吐反射が強い方、さらに親知らずの抜歯などでも積極的に活用されています。
全身麻酔下での歯科治療は、大学病院などでは長年行われてきた一般的な方法です。近年、薬剤や医療技術の進歩により、耳鼻科や眼科といった分野でも日帰り全身麻酔が普及し、歯科治療においても同様に日帰りで全身麻酔を使った治療が行われるようになっています。
Q術前の食事制限はありますか?
全身麻酔を受ける際には、麻酔中に胃の中に食べ物が残っていると、嘔吐を引き起こしやすくなるため、その嘔吐物が肺に入ることで窒息や肺炎のリスクが生じます。このような事態を防ぐため、麻酔の前には胃を空にしておくことが重要です。そのため、全身麻酔の予定時間の数時間前から食事を控えるよう指示があります。
特に小さなお子様の場合、単に食事を控えるだけではなく、適切なタイミングで水分補給を行わないと脱水症状を引き起こす恐れがあります。そのため、麻酔担当医がお子様に合わせて食事や水分摂取の具体的なスケジュールを指示します。ご家族にもその理由をきちんとお伝えし、協力していただくことが大切です。
外来での治療では、歯科衛生士が事前に食事制限について詳しく説明しますが、保護者の方には、指定された時間や内容を守っていただくことで、より安全でスムーズな治療が可能となります。
Q治療後、いつから食事ができますか?
麻酔中の患者様には、安全のために必ず点滴が入れられますので、治療の後十分に目が覚めるまでは無理に水を飲まなくても心配ありません。完全に目が覚めて1時間程したら水分を摂らせてみます。もし、気持ちが悪くなって嘔吐するようでしたら、麻酔薬の影響がまだ残っていることがありますので、もうしばらく様子を観察したりします。麻酔そのものの影響はなくなっていても、数回の嘔吐を繰り返す場合もあります。この場合でも、麻酔中は十分に点滴から水分を補給していますので、例えすぐに水を飲まなくても心配はありません。水を飲ませて平気なようでしたら、しばらくした後食事を摂る事ができます。
このように、麻酔から十分覚めて2時間程すると、ほとんどの場合普通に食べられるようになります。日帰り入院の場合、その時間には帰宅できるほどの状態になります。

日帰り全身麻酔の治療詳細

全身麻酔前の注意点

全身麻酔の前に検査や診察が必要です

今までの説明でだいたい全身麻酔についてご理解いただけたと思います。より安全に治療を受けるために必要なこの全身麻酔も、患者様の全身状態を知らずに麻酔をすることは大いに危険が伴うことは言うまでもありません。
そこで、全身麻酔を受けても大丈夫かどうかを調べるために、術前検査を行います。風邪など喉や鼻の状態がおかしい場合やアレルギー状態、咳き込む可能性がある場合などは治療や麻酔を延期した方が賢明といえます。また、貧血がありますと、からだの中に運ばれる酸素の量が少なくなり危険な状態になることもあります。そういう危険を避けるためにも予め血液の検査や胸のレントゲン検査などが行われるのです。

治療が延期される場合

治療が延期される最も多い原因は風邪です。熱がある場合や咳、鼻水などの症状がひどい場合はもちろんですが、今の症状が軽くても風邪薬を最近まで飲んでいた場合や風邪が治って間もない場合も含まれます。
風邪以外では、次のような場合も延期になることがあります。
下痢をしている、発疹がある、家族やお友達が、水疱瘡、風疹、はしか、おたふくかぜなどにかかっている場合などです。

食事の制限について

全身麻酔の前に食事が厳重に制限される場合があります。これは、麻酔中に胃の中の内容物が分泌され、嘔吐を引き起こし、誤って肺に入ることで窒息のリスクが高まるためです。そのため、手術の数時間前から食事や飲み物の摂取が制限されます。よくある質問でも食事制限についてお答えしています。

よくある質問

全身麻酔に伴う副作用

全身麻酔下に歯科治療を受けることは、非常にご心配であることは当然のことと思います。
いろいろと質問を受けます。確かに麻酔による死亡が全く無いわけではありませんのでご心配も無理のないことです。しかし、歯科麻酔を専門とした日本歯科麻酔学会認定医が全身麻酔中の全身管理を行います。麻酔を専門とする医師のいる麻酔が関係した事故は、交通事故による死亡事故の頻度(1万人に1人)よりもはるかに少ないといわれています。また、麻酔の後何ヶ月もしてから麻酔の影響がでることはありません。
しかし、だからといって全身麻酔に危険性が絶対にないということは断言できません。その為、麻酔をかける前に十分な診察や検査をして、状態を知る必要があります。このためには、ご自身の特徴をなるべくたくさん、どんな些細なことでも教えてください。ご家族の方々の麻酔や手術の事を話していただくことも大切なのです。
しかしながら、きわめて稀ではありますが、以下のような合併症が起こる危険性があることをご了解ください。

全身麻酔に伴う症状

  • 体温の上昇に伴う全身の臓器障害(悪性高熱症)
  • アナフィラキシーショック
  • 心・肺・肝・腎などの機能低下
  • 麻酔が浅くなり治療中の記憶が残存
  • 脳・脊髄・神経系の障害、痙攣、意識レベルの低下
  • 注射部位の細菌感染、膿瘍形成
  • 血流障害による多臓器不全

合併症を疑わせる症状が認められた場合は、患者様の救命ならびに後遺症を最小限にするためのあらゆる努力をいたしますが、その際には予定されていた処置とは異なった処置が行われる可能性があります。

ご不明な点は
医師やスタッフまで

どれほど細かく説明され、どんなに理解し納得したつもりでも、心配や不安感が無くならないのは当然のことと思います。でも、ある程度までは全身麻酔についてご理解いただけたと思います。

ご質問はいつでも受け付けておりますので、疑問に感じることがありましたら、担当医やスタッフに遠慮なくおたずねください。