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マイクロスコープ学術一般歯科保存歯科

セラミックだけが正解ではない。歯を守るゴールドという選択

写真からも分かるように、修復物と歯の境界にあたるセメントラインは、経年的な劣化や二次う蝕にも関わる重要な部分です。

本症例では、ゴールド修復の高い適合性により、マイクロスコープ下で観察してもセメントラインをほとんど判別できないほど、歯質との境界が非常に滑らかに仕上がっています。

このような高い適合精度と歯質への適合性は、ゴールド修復の大きな魅力の一つです。

もちろん、セラミックにも優れた審美性や物性など、多くのメリットがあります。しかし、適合性や歯質保存という観点では、ゴールドだからこそ得られるメリットがあります。

材料にはそれぞれ異なる特性があり、すべての症例に同じ材料が適しているわけではありません。

だからこそ、審美性だけではなく、「いかに歯を削らず、いかに精密に適合させ、長期的に歯を守るか」という視点から材料を選択することが重要だと考えています。

歯科治療における材料の選択には、さまざまな要素が関係します。

歯を削る量(切削量)、審美性、プラークの付着・停滞性、強度、靱性、適合精度、経年的な変化、清掃性、耐久性、治療時間、治療コスト、製作コスト、材料費など、それぞれの材料にはメリットとデメリットがあります。

そのため、すべての面において優れた「完全無欠な材料」や「万能な治療法」は存在しません。

近年では、セラミック治療が自由診療(保険外診療)の選択肢として一般的になっており、諸隈歯科医院においても、審美性や機能性を考慮してセラミックを選択することがあります。

一方で、「歯を長く守る」という視点では、ゴールドにも大きなメリットがあると考えています。

特にゴールドは、適合性に優れ、必要以上に歯を削らずに修復できることが大きな特徴です。

また、ゴールド修復には長期的な臨床実績があります。鋳造ゴールドインレー・アンレーを平均18.7年間追跡した研究では、10年生存率96.1%、20年生存率87.0%、30年生存率73.5%が報告されています。

Long-term survival estimates of cast gold inlays and onlays with their analysis of failures

さらに、2025年に報告された20年間のランダム化比較試験では、ゴールド部分冠とCAD/CAMセラミック部分冠を比較し、累積生存率はゴールド69%、セラミック53%でした。また、20年時点の辺縁適合など一部の評価項目では、ゴールドがセラミックより良好な結果を示しています。

Gold vs. CAD/CAM ceramic partial-crowns: 20-year randomized clinical study

もちろん、これは「ゴールドがあらゆる点でセラミックより優れている」という意味ではありません。審美性についてはセラミックに大きな優位性がありますし、現在のセラミック治療にも高い長期予後を示す研究があります。

だからこそ、材料の優劣を単純に決めるのではなく、それぞれの特性を理解したうえで、歯の状態、咬合、残存歯質、清掃性、審美的な希望、そして長期的な予後まで考慮して材料を選択することが重要だと考えています。

「セラミックだから良い」「ゴールドだから良い」のではなく、
その歯にとって、どの材料・どの設計が最も歯を守ることにつながるのか。

諸隈歯科医院では、その視点を大切にしながら、一人ひとりの患者様に適した治療方法を考えていきたいと考えています。

監修者情報

諸隈歯科医院
院長・歯学博士

諸隈 正和 Masakazu Morokuma / DDS PhD
略歴
日本大学歯学部卒業。同大学大学院歯学研究科修了後、専修医を経て2014年より諸隈歯科医院に勤務。2017年院長就任。再生医療認定医。千葉市稲毛区黒砂にて地域診療に従事。
専門分野
インプラント、補綴治療(被せ物・入れ歯)、咬み合わせ、根管治療、矯正歯科など、機能回復を重視した総合歯科治療。顕微鏡やデジタル印象などの設備体制のもと、再治療を繰り返さない治療を目指す。
資格・所属
日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医/日本口腔インプラント学会 /日本歯内療法学会 ほか。日本再生医療学会 再生医療認定医 2016年取得。
診療方針
「できる限り歯を残すこと」「しっかり噛める状態を回復すること」「その場しのぎで終わらせないこと」を大切にしています。初診時の説明から治療後のメンテナンスまで一貫して向き合い、長期的に安定する治療計画を重視しています。
患者様へのメッセージ
本ブログでは、千葉市・西千葉・みどり台周辺で歯科医院をお探しの方を中心に、診療現場で実際に多いご相談内容をもとに、治療の選択肢やそれぞれの利点・注意点を整理しています。専門的な内容も、できるだけわかりやすく、誇張なくお伝えすることを心がけています。「本当にこの治療でよいのか」「他の方法はないのか」と迷われた際は、一人で抱え込まずご相談ください。地域のかかりつけ歯科として、丁寧な説明と納得のうえで治療を選んでいただくことを大切にしています。