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ここでは、日々の治療の中で感じていることを書こうと思います。
歯科医師になって今年で10年目になります。
卒業するまでは歯学部なのにラグビー漬け、筋トレばかりの日々で、学校から帰ってくるのは夜の12時過ぎ、、
限られた学生生活を一生懸命充実できるよう必死でしたが、そこでは教室の勉強では学べない貴重な経験をさせてもらった様に思います、。
出来の悪い学生でしたが、なんとか卒業し、そこからは切り替えて歯科医療を極めるため、挫折や失敗を繰り返しながら少しずつ成長しようと毎日勉強してきました。
卒後10年してくると、徐々に歯科医療というものの全体像をボヤッと見れるようになってきて、去年父から医院を継承し、患者さんを自分の家族や親友だったらどうするかという目線・姿勢で、治療に取り組む毎日です。
そこで感じることは、歯科に関して日本の医療(健康保険適用範囲内)と世界基準の治療には徐々におおきな差が出てきている。。。という現実です。
医療技術は日々進歩していますので、ここでこうすれば歯を残せるのに、歯を削らず歯の寿命が短くならなくて済むのに、こうすれば入れ歯にならなくて済む、こうすればより快適な入れ歯を作れる、と思うことが多々あります。
そうしたいのに、なかなか日本の医療制度の範囲内では出来ない。。。
その原因を自分なりに考察すると、日本が超高齢化社会に突入するに当たって、20年前と現在で国の財源(収入と支出)に大きな変化が起きていることが一因であることは間違いありません。
超高齢化社会の到来と人口減少によって収入(税収)は減り続けています。
一方で医療技術は進歩していきますのでそれに応じて医療費(社会保障費)は増加傾向⇑にあります。
そこで国は財源健全化のため、健康保険で対応可能な治療方法にルールや制限を設けています。
制度の利点は、日本の歯科は高い技術を持つ歯科医師(教授・専門医・認定医)から治療を受けても、治療費は一律で受診することができます(これは日本の医療制度が世界に誇れる点です)。
国によって違いますが、海外では専門医や教授クラスに治療してもらった場合、治療費が大きく上がる傾向にあります。
制度の欠点は、最新の治療方法を選択しようとすると、健康保険の適用外(自由診療)となる場合が多くなってきている様に感じます。
ここからは私の私見という前置きの上で、ある程度の病態(軽度の歯周病や初期虫歯等)までは健康保険適用で対応可能だと思います。
しかし、虫歯の洪水と言われる時代を乗り越えた日本において、歯科の症状に対する対処法は医療の進化とともに多様性が出てきているため、一定の水準を超えた治療(国内外で学んで来た最善の歯科医療だったり、私自身が受けたい治療)を求めると、自由診療(健康保険適用外)でなければ的確な対処が難しい場合が増えてきているのも事実です。
医学的に最善と思われる治療方法と、財源が限られた日本の制度の中で行える治療方法の差に、患者さんに医学的に最善の医療を届けたい私としては、たまに頭を抱えることがあります。
ただ、私個人的には歯科治療はコスパを重要視して、最善の治療方法を選択された方が結果的に健康でいられる期間は長くなると思います。仮に10万の治療費がかかったとしても、10年保てば、一年で1万円、一月1000円以下のコストでお口の健康を維持できるわけです。
再発を繰り返し悪くなるたびに歯科医院に行く時代から、きちんと治療をしてから悪くならない様に歯科医院へメインテナンスに通う時代はすぐそこまできていると思います。
歯の一本の価値が、ある判例では180万とも言われている時代です。
治すべきところはしっかり治して、治療しなくて済む様にお口のメインテナンスを患者さんにしっかり取り組んでもらう、私が目指すのはそんな歯科医院です。
話が少し変わりますが、来院される患者さんの価値観は千差万別ですので、私の価値観を押し付けるわけには行きません。
そこで当院は、初診時に応急処置が必要である場合を除き、まずは診査診断をさせていただいた上で、当院として提供可能な治療方法は一通りご説明させていただきます。
複雑な症状の場合は説明のためだけの時間(コンサルテーション)を別途設けさせて頂くこともございます。
そこで受けた説明を聞いていただいた上で、保険診療か自由診療(健康保険適用外)を患者さん自身に選んでいただく様にしています。
お口のことで困ったら患者さんのために最善を尽くす努力を惜しみません。
全ては患者さんの笑顔のために!