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顎関節の違和感
顎関節の脱臼
顎関節の開閉口時の関節音(ジャリジャリ・カクカク・コリコリ等)
差し歯やブリッジ、入れ歯治療後や矯正治療後に発生した首や肩の凝り
を訴えて来院される患者さんが増えてきているように思えます。
これらの症状は、顎関節の生理的な位置と噛み合わせの位置にズレに起因していることが多いとされています。
扉で例えると
顎関節が「蝶番」
扉のはまる位置が「歯で噛んだ噛み合わせ(咬頭嵌合位)」
です。
蝶番と扉の閉まった位置にズレが生じた時
扉と違って生体は、ズレに対して適応してくれる場合がほとんどです。
そのため、顎関節症の初期症状(カクカク・コリコリ)を感じていても
多くの方は日常生活に支障は無い事が場合が多いです。
しかし、そのズレに生体が対応出来なくなってくると
顎関節症や
不定愁訴(*『明らかな身体的原因が認められないにも関わらず、頭痛や筋肉痛、腰背部痛、疲労感、腹痛、悪心、食欲不振など多彩な症状を訴え続ける状態。』
体のあちこちに症状が出るのですが、検査上異常が認められにくい、つかみどころのない状態のことです。)
が発生します。
噛み合わせの不一致による不定愁訴では、頭を支える筋肉と顎関節(正確には下顎頭)が
生理的でない位置に移動してしまったり
生理的でない状態になっていることが多く認められます。
正常時、頭(約5kg)は
胸鎖乳突筋・僧帽筋等で前後に倒れないように支えられ
舌骨を介した
オトガイ舌骨筋・顎舌骨筋・胸骨舌骨筋・肩甲舌骨筋・胸骨甲状筋・甲状舌骨筋・顎二腹筋・茎突舌骨筋
で頭部が固定され
と咀嚼筋群(咬筋・側頭筋・外側翼突筋・内側翼突筋)
で下顎運動を行います。
しかし、なんらかの障害でこの筋肉のバランスが崩れたり
顎関節で下顎頭(下顎の顎関節に位置する骨の突起)の慢性的な位置異常が発生したり
噛み合わせの崩壊による顎の位置異常が発生すると
筋肉が過緊張を起こし
頭をうまく支えることができず
顎関節症や不定愁訴が発生する場合があります。
それらがどういった状態が一例を下記写真で示すと
ICPが歯での噛み合わせ位置(咬頭嵌合位)
CRが中心位(下顎等の生理的位置)
となりますが
本来はICPとCRが一致してなければなりません。(ICP=CR)
しかし、奥歯や前歯の噛み合わせが変化すると
下顎頭は歯の位置に影響を受けますので
ICP≠CRとなり、治療によって元の位置に戻さなければならない状態となります。
ICP≠CRとなる原因にはいくつかあります。
治療概念は
顎関節と筋肉を生理的な位置に戻すため
噛み合わせの改善を通じてICP=CRを取り戻していくだけなのですが
実際の治療方法はかなり複雑で高度な技術を要します。
まず、顎関節症や不定愁訴は、複合的な原因が起因している可能性があります。
顎関節症は、簡単な治療ではないため
診査診断で十分な資料採取を行い的確な診断が得られれば治療へ移行することになります。
当院での試料採取項目として以下の項目を必要としています。
例えばこちらの患者さんは
これらの症状を訴えておりました。
顎関節の状態を観察すると
下顎頭が後方に押し込まれてしまい位置異常を起こしているため
開閉口時に筋肉がバランスを崩しています。
そこで仮歯にて顎関節の位置改善をおこなったところ
首のこりや不定愁訴、顎関節のクリック音などが消失したため
本格的な噛み合わせ治療に移行していきます。
左:初診時の顎関節 中央:顎関節リハビリ1回目の中心位マウント時 左:中心位に誘導された顎関節(違和感消失)
治療方法は
の組み合わせです。
ここからは
初診時から仮歯までの顎運動の変化の一部をzebris jow motionでお見せします。
初診時の不定愁訴のある顎運動データ
我有関節の動きがガクガクしている事が観察できます。
中心位(C Rポジション)にある顎運動データ
仮歯によって顎関節の動きが滑らかに変化してきています。
模型で観察すると
実施の中心位(CRポジション)は臼歯の咬合低下が原因だった事が診断で判明しました。
初診時と仮歯装着時の口腔内スキャンデータです。
このように顎関節症や不定愁訴と噛み合わせは大いに関係があると共に
多くの筋肉が関係しているため
その原因を特定するには、多くの時間がかかり
不定愁訴の期間が長いほど、体の器質的変が大きい場合もあるため
治療は難しくなっていきます。
そして、その治療にも患者さんと歯科医師の労力と根気を必要とします。
さらに、不定愁訴は歯科が原因でない場合もあります。
頭頸部の問題はさまざまな分野が複雑に関係した繊細な治療を必要としますが
諸隈歯科医院では、少しでも患者さんの健康に貢献できるよう日々研鑽を続けています。